こんにちは。
鈴木歯科クリニック院長の鈴木喜之です。
前回はバネ(クラスプと呼びます)についてお伝えしました。
バネ(クラスプ)は入れ歯がはずれない、咬む力を受け止めるという意味ではとても重要です。
しかしながらもうひとつ大事な要素があります。
それは入れ歯の歯ぐき部分をつなぐ装置(大連結子と呼びます)部分です。この部分から枝分かれするようにバネ(クラスプ)が伸び出してゆきます。
バネ(クラスプ)とこの連結部分(大連結子)が一体となってしかも強固であることが、とても大切になってきます。
そもそも部分入れ歯は咬む力を残った歯で受け止めます。
歯を失った歯ぐきで咬んではいますが、咬む力のすべてを歯ぐきで受け止めてしまうと過重負担になって痛みになるからです。
ですからバネ(クラスプ)についている突起(レストと呼びます)部分で咬む力を受け止め、それをさらに連結部分に分散させていくのです。
そもそも歯は垂直方向の咬む力は対して強いのですが横揺れのような揺さぶる力にはとても弱いのです。
人間は食物を咬む際に「カチ、カチ」と咬んでいるのではなく、下アゴを回すように動かしながら食物を咀嚼してますので、横揺れは必ず起こってきます。
その力をバネ(クラスプ)だけではなく、連結部分(大連結子)でも受け止めるようにしてあげなければなりません。
このことからバネ(クラスプ)と連結装置(大連結子)は一体になった強固のものである必要があります。バネの力も計算された適正な力で、外しやくて、入れ歯を装着して気持ちがいい状態であるべきです。
しかしながらこれを行うには従来の保険の入れ歯ではできないのです。
通常の保険の入れ歯ではバネと連結装置は一体ではありません。バネはばらばらに製作され、入れ歯での歯ぐき部分で埋め込まれ一体になっているように見えるだけです。
バネがかかっているそれぞれの歯に、咬む力がかかり、力を分散しきれないために、その結果歯にものすごいストレスがかかり、最後には抜歯につながるのです。
残った歯が多いとバネも多くかけられるので、バネでの「栓抜き効果」で歯を失うスピードは遅いのですが、残った歯の本数が少なくなるとその速度は一気に進み、総入れ歯へ移行していきます。
誤解を恐れずに申しますと、保険診療では「ある程度咬めて、外れにくい入れ歯」がゴールになっていて、入れ歯装着後、「残った歯に負担過重になり抜歯につながる」という視点はおろそかになっていると思います。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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