その411

NO IMAGE

歯を抜きっぱなしにしておくと、反対側の歯肉を咬んでしまう?

「歯肉が傷ついて痛いのですが」という主訴で50代後半の女性の患者様が来院されました。

若い方ですと、口内炎、歯ブラシによる傷、親知らずの歯肉部分の清掃不良による痛み等を疑います。

でも、中年以降になりますと、それ以外にも歯肉に傷ができることがあります。

それは、奥歯を抜きっぱなしにしたために、抜いた反対側の上(または下)の歯が伸びてきてしまい、、抜いたままの歯肉に咬みこんで来る場合です。

口の中では、かみ合う歯がありませんと、抑え込む力がなくなりますので歯は伸びてきます。特に下の奥歯がありませんと、上の歯は簡単に下に伸び出します。

また、1本だけでなく、左右の奥歯が数本失ったままですと、全体の咬み合わせが低くなり、その結果隙間がなくなり、さらに歯肉を咬みこ込みます。

実際には歯肉を咬みこむケースは少ないのですが、あとわずかで咬みこんでしまうことは多くあります。

このことは入れ歯がよく壊れる方に見られ、隙間が少ないために入れ歯がペラペラに薄くできてしまうので欠けてしまうからです。

また、「奥歯がなくて咬めないから、入れ歯やインプラントを装着しよう」と患者様が決断しても、「歯を入れる隙間がない」状態になります。

対処としては、伸びきった歯の神経を除去し、歯を短くしてかぶせ物をかぶせたり、低くなった咬みわせをかぶせ物で奥歯全体を高くして、新しい歯を入れる「隙間」を確保します。

歯並び自体を変えるために矯正治療を選択される方もおられます。

長期間、歯がないことは咬めない、他の歯に負担がかかるということだけではなく、あらゆるところに弊害が出ます。

P.S
奥歯がないままの方は意外と多いと思います。見た目に影響がないからという理由だと思いますが、じわじわとその影響はやってきます。

歯の豆知識カテゴリの最新記事